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しかし、少女は生き生きとしていた。そんなことなどものともしない。
少女だけが死とは無縁だった。
少女の手には光るガラクタがいくつもあった。
泥にまみれていようが、壊れかけていようが、少女は光る物を見つけては手当たり次第に拾っている。
そのために少女は歩き回っている。少女は光り輝くものが好きだった。
少女にとって、それは陽を差し込む太陽よりも眩しいのだ。
死はきっとこの光が嫌いなのだ。だから少女を殺せない。
少女はガラクタを家に持ち帰らない。持ち帰れば、両親がすぐさま捨ててしまう。
「汚らしいゴミだこと!」
母がそう吐き捨てビンタを何度もした日から、少女は隠すことに決めたのだ。
少女は家とは真逆の方向。山の麓の木の下に、それらを埋めていた。
形を崩さないように丁寧に丁寧に、穴の中に入れていく。
そして土や草を被せる前に、少女は呪文のように唄う。
『なんて綺麗な宝物。素敵な素敵な宝物。私だけの宝物。誰にも渡したりしない』
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