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黒々と続く岩道の先に
空より澄んだ碧い海
倒れた十字の標べを横目に
愈々、下足は砂に濡れ
ワタシの音は呑まれていった
ポッツリ、此岸の縁へ立ち
ほうっと一つ息をつく
杳々静かを湛える彼方には
ニライカナイの地があった
あすこでは金色の靄が
やさしく豊かを撫ぜていて
御霊が風のように舞うのだろう
あすこでは清いも穢いも
生きるも死ぬも一客の
器にたゆたって居るのだろう
あすこでは
あすこでは
あぁ
あぁやって来る
ニライカナイに吹いた風が
春を連れて海を渡る
もうすぐ
もうすぐ春になるんだね
無垢たちが遊んで踊って
あたり一面、春になるんだね
あぁ
彼岸の縁に立つ眼
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