179人が本棚に入れています
本棚に追加
ぐるぐると色々な事を明かり一つだけにしてもらった薄暗い部屋でぼうっと考え事をしていたら静かにドアが開いた。
キリルが様子でも見に来たのかと思ったらアラステアだった。
「アラステアっ」
ぱぁっとセシルが顔を綻ばせると枕元に近づいて来たアラステアがセシルを見て複雑そうな表情を浮かべていた。
「…大丈夫か?」
「……うん。大事をとっただけだよ…」
「…そうか」
アラステアと小さな声で会話しているとアラステアがセシルの寝台脇の椅子に腰掛けた。
いてくれるの? とセシルは少しでも傍にいたくて嬉しくなる。ただアラステアは心配してくれただけで、たとえセシルと同じように傍にいたいとか思ってくれたわけじゃないにしても少しの事が嬉しくてドキドキとしてしまう。
「セシル…」
アラステアが手を伸ばしセシルの頬を撫で頭を撫でてくれる。
火照った頬にアラステアの手がひやりと感じた。
この手が…と昂ぶったセシルの未熟な性を刺激された事を思い出しさらに緊張までしてきてしまってぎゅっと目を瞑った。
ちょっと思い出してしまっただけでまた体の芯に熱が籠もりそうになってきてどうしようと内心で慌ててしまう。
またこの間みたいになったら…アラステアはどうするのだろう…? してくれる…? 恐る恐るそっとアラステアの顔を窺う様に見ると唇が目に入った。
キス…キリルとイリヤ王子がしてたみたいに…キスしたいな…とか思ってしまって顔がかっとさらに熱くなってきた。
なんてこと考えているんだろう! とセシルは小さくぷるぷると頭を横に振った。
「…どうした? 気分でも悪いのか? 頭痛か?」
「あ、ち、違うよ? 大丈夫!」
アラステアが顔をさらに近づけてきてセシルは慌てて否定した。
皆がセシルの事を考えてくれているのにその自分がこんな事考えてるなんて知られたら…軽蔑されてしまうかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!