第1章

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 いくらセシルが考えてもセシルに分かるはずはないのだが。  ふぅとセシルは考える事をやめて溜息を吐き出した。  どうやらアラステアはキリルとイリヤ王子についていくらしい。そういえば監視、とも前に言っていたような…?  結局キリル達に何があったのか聞く事はなかったけれど、何があってもキリル達は友人だ。セシルの事を見返りもなく助けてくれたのだ。自分も…出来る事があれば助けたいと思う。  今のセシルでは何も役に立たないけど…。  でも今はすっきりはしている。アラステアと会えないのは寂しいが、先ほど父王達の前で自分の意思をはっきりと伝える事が出来たのだ。  今までのようにただ寝台に横になっているだけの王室のお荷物王子じゃなく、自分もなるべく出来る事をしたい。これまでずっと厄介になっていた国に何か自分が出来る事があれば…。  それでも心の奥底では傍にアラステアがいてくれたら…と望んでしまうのは仕方ないだろう。  ずっと…きっと初めて会った時からアラステアだけが特別だったのだ。  サミュエル以外に人と接する機会が少なかったからアラステアが特別だったのかと思う事もあったけど、やっぱり違うと思う。  「血縁だろうがなんだろうが好きは好きなんだもん」  セシルは布団にもぐりこみながら小さく呟いた。  悲しいのはアラステアにとってはセシルはただの甥にしか見えてないだろうって事だ。  これじゃいくらセシルが好きだってどうしようもないのだ。  じわりとまた会えないと言われた事を思い出し瞳が滲んでくる。  …ううん!絶対…会う。どうにかしてでも!  幸いセシルは王族の端くれ。特権を使ったって何年かかったって絶対会ってやる、と密かに心に決めた。  セシルの事は見てるとアラステアは言ってくれたけど、そんなのじゃセシルは足りないのだ。  「……わがまま…って嫌われる…かな」  でもそんな事…と、セシルは首を横に振った。  
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