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「セシル王子、君の本当のお母さんの事を聞かせてもらってもいいかな? もう亡くなっている…と聞いたけれど?」
動揺を隠せないセシルにキリルがにこりと笑みを見せながら促してきた。
「うん…。僕が生まれた後に…だから僕もあまりよくは知らないんだけど…」
「知っている範囲でいいよ?」
「うん…元々王妃様付きの侍女だったらしいんだけど…王妃様がなかなか懐妊しなくて…その間に父上が手をつけたらしい…聞いた話だと、だけど」
「…王は子を成すのも仕事…って事らしいからね」
キリルがふっと冷めた目をしたのでセシルはじっと見てしまうと慌てたように表情を取り繕った。
「ああ、ごめんね。セシル王子の国の事じゃなくてイリヤ王子の国の事を思い出して…」
「イリヤ王子の?」
「そう。それで? 王妃様とセシル王子のお母さんは仲悪かった?」
「ううん? 姉妹のように仲良かったって聞いた」
「………へぇ?」
「だから僕を生んでから弱くなってしまった母の事を王妃様はすごく心配してらしたって…母が亡くなってからも僕の事も邪険にするでもなかったし…気遣ってくれて…」
「へぇ? 出来すぎのような王妃様だね? セシル王子のお母さんは元々体が弱かった…って事もなかった?」
「ないと思う…。父上が飛び跳ね回ってるように快活だったって…それが僕を身ごもってから変わったって…」
「…なるほどね…。差し支えなければ聞いてもいいかな…? セシル王子のお母さんは…どうして亡くなったの?」
「なんか…朝侍女が起こしに言ったら冷たくなってた…って聞いたけど。その前から僕みたいに臥せっていたって…。産後の肥立ちが悪かったからって聞いてたけど…」
「…産後の肥立ちねぇ…セシル王子の今の状態の事を考えればそれも本当かどうかって思うが…当時のセシル王子のお母さんについていた侍女とかいないかな? 病状とか聞ければ分かる事があるかもしれないけれど」
「王宮にいけばいるかも…母上の所にいた侍女はそのまま王妃様が付きに召抱えられたって…聞いたし…辞めた人だって多数はいるだろうけど…」
それを聞いてキリルがアラステアを目を合わせて小さく頷き合っていた。
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