爆弾低気圧、発進

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  志緒のことは もう諦めていたつもりだった。 胸くそ悪すぎて 思い出したくもねえが、 “Raison d'etre”の ヴォーカルとして デビューしてからしばらくして、 誠司が訪ねてきたことが あったのだ。 俺がいなくなって 泣いてる志緒を、 ずっと支えたんだと。 そんで、選んでもらったんだと。 ああ、そうかよ。って。 俺があれだけ 丹精込めて育てたのに、 なんにも判ってなかった 志緒にもがっかりした。 あれだけ好き好き 言ってたくせに、 口だけかよ。 本気だったのは、俺だけか。 志緒も、母さんも。 結局は、自分の欲望を 叶えてくれる相手なら 誰でもいいんだろ。 どうせ女はそんなもんだ。 女なんか嫌いだ。 大っ嫌いだ。 .
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