1215人が本棚に入れています
本棚に追加
志緒のことは
もう諦めていたつもりだった。
胸くそ悪すぎて
思い出したくもねえが、
“Raison d'etre”の
ヴォーカルとして
デビューしてからしばらくして、
誠司が訪ねてきたことが
あったのだ。
俺がいなくなって
泣いてる志緒を、
ずっと支えたんだと。
そんで、選んでもらったんだと。
ああ、そうかよ。って。
俺があれだけ
丹精込めて育てたのに、
なんにも判ってなかった
志緒にもがっかりした。
あれだけ好き好き
言ってたくせに、
口だけかよ。
本気だったのは、俺だけか。
志緒も、母さんも。
結局は、自分の欲望を
叶えてくれる相手なら
誰でもいいんだろ。
どうせ女はそんなもんだ。
女なんか嫌いだ。
大っ嫌いだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!