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5限目は現国だ。
私は気持ちを切り替えて、教科書とノートを取り出した。
現国は好きだけれど、この先生の話し方は眠くなる……。
眠気を覚ますために、シャーペンで軽く手の甲を刺す。
そういえば、伊原は起きたのかな……。
ふと気になった。
あれだけ熟睡していて、授業が始まったことに気づけるのだろうか?
伊原には、起こしてくれるような友達なんて、一人もいない。
今までは気にも留めない存在だったのに。
これも「友達になった」効果なのだろうか?
馬鹿馬鹿しいな。
不自然にならないよう、私は周りを見渡す。
多香子は退屈そうに頬杖をついて黒板を眺めている。
萌乃は机の下で携帯を触っていて、早紀はうつ伏せになり眠っている。
若葉は真面目にノートをとっているようだ。
今なら、大丈夫かな……。
私は一瞬だけ、伊原の方を振り返った。
案の定、彼はまだイヤホンをつけたまま、机に突っ伏していた。
やっぱり寝てる……。
私は呆れた。
もうすぐ3年生になるのに、授業についていけなくなったら、どうするつもりなんだろう。
まあ、伊原のことなんて、どうでもいいか……。
そう思い、私は再びノートをとり始めた。
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