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「ったく。何もわかってねえバカ兄だな、お前は」
やれやれと言いた気に、村木は口にした。
「は? わかってないって、なんの事ですか?」
「その美緒ちゃんが頼んできたんだよ」
「・・・えっ!? 美緒がおじさん、じゃなかった、村木さんに?」
「ああ、そうだ。美緒ちゃんはな、自分のせいでお前が刑事になるのを躊躇ってると思ってんだよ」
「あいつが・・・? 美緒のヤツ、そんな事気にして・・・」
意外そうに呟く郁哉だが、まさか美緒がそんな風に思っていたとは。
「ま、お前が思うほど美緒ちゃんはガキじゃねえってこった。もう立派な大人なんだよ。お前の足枷になんのが辛いんだろ」
「でも、だからってこんな急に」
「ふん。急だからなんだ。とにかく、四の五の言わず決まりだ!」
まだ困惑する郁哉の意思など無視し、村木はスパッと話しを纏めてしまった。
こうなっては諦める他あるまい。郁哉も村木の事は小さい頃から知っている。性格も把握してるつもりだ。
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