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「……グスッ。グススッ」
情けなく涙を拭い、洟をすする音が誰もいない教室に響く。被害に遭ったあたしは目と鼻を赤くしながら、足元の屑籠にティッシュの山を作っていた。
「くそ……まりかのやつ、人を何だと思ってるんだ……」
悪態をつきながら、苦々しく眉間に皺を寄せた。ふぅと息をついて、立ち上がる。
窓の外に視線をやると、太陽が沈んでいくところだった。その眩しさに、思わず目を細める。その光景に、思い返すのは夕陽に包まれた痛い思い出。あの日、彼は微笑みだけを残していなくなった。
睫毛を伏せ、小さくかぶりを振る。
「今さら……」
そうして独り言ち、沈んでいく太陽を見ながら立ち尽くした。
こうして琥珀に染まる景色を眺めていると、泣きそうになってしまう。アレルギー反応とは違う痛みが鼻の奥に甦り、かぶりを振った。
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