琥珀の憧憬

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   そんなことより、人のアレルギー反応を面白がるまりかだ。 「あの猫、何とかしなきゃな……」  溜め息混じりに呟き落とした瞬間、背後で空気が動く気配がした。 「──僕にくれないか?」  撫でるような優しげな声に、驚いて振り返る。 「将司(まさし)?」  ──将司。夕陽の記憶と一緒に閉じ込めた、高校時代の同級生。  将司は、遠くで暮らしていたお父さんが亡くなってしまってから、がらりと人生が変わってしまった。お父さんの後継ぎとして転校してしまったし、あたしとはまったく違う道を選んだはずだった。 .
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