琥珀の憧憬

7/23
前へ
/25ページ
次へ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「じゃあ、この仔猫は僕が責任を持って育てますから」 「ははーっ! どぞ、可愛がってやってくださいませ!」  いつもの部屋に戻り、まりかから猫を受け取った将司。その将司から、あたしはゆっくり3歩離れた。 「相変わらずだな」 「な、何が?」 「猫アレルギー」  将司の言葉に、目を丸くする。 「なんで、知ってるんだ?」  将司は、まりかが「荷物、取ってくるね」と部屋を出ていくのを待ってから、あたしを見た。将司はそれ以上あたしに近付かないようにしつつも、ささやき声で言った。 「君のことなら、だいたい知ってるよ」  将司は、穏やかに微笑む。その微笑の意味がよく判らずに、数回まばたきをした。 .
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加