琥珀の眩暈

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  数分前のまりかとの会話から、あらためて鏡で自分の姿を確認した。あの夜、首筋から背中を執拗に愛撫した、将司の痕はどこにもない。  肌はしっかり覚えているのに、痕だけがない──痕の有無などではなく、あたしはそこにこそ将司の生々しさを感じた。恥ずかしいのをこらえて訊いたとしたら、きっと彼は腹が立つくらい涼やかな顔で、こう答えるのだろう。 『だって君、痕がつくの嫌だろう?』  ……おそらくはあたしの着ている服の露出がわりと激しめであることを見越して。 .
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