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「もう来ないでって何度言えばわかるの?」
彼女の、疲れたような憐れむような顔にももう慣れてしまった。
惰性でも、憐憫でも、このまま会い続けることができればそれでいいと思ってた。
前の彼、忘れられない彼のことを思う彼女に、いつしか自分を重ねてたのかもしれない。
何度目かのドライブ。
彼女は唐突に言った。
「また、人を好きになれるかもしれないの」
それは、衝撃だった。
前の彼と元サヤに戻るわけではなく、新しく人を好きになりそうなこと。
そして、その恋がうまくいきそうだから、本当に今夜で最後にしてほしいこと。
窓の外を見ながら彼女は淡々と話す。
嘘ではなさそうだ。
嘘のつけない彼女特有の話ぶりで、新しく好きになりそうな相手の見当もついてしまったから。
今度こそ、僕の恋は終わったのだった。
車を降りるとき、彼女は、
「じゃあね、もう来ないでね。今までありがとう、でも、ごめんね」
と、寂しげに笑った。
彼女には始まりでも、僕には終わりだった。
ありがとうなんてまだ言えない。
そうして、彼女は帰っていった。
彼女が自分の部屋のドアの鍵を閉める音で現実に引き戻される。
さて、僕は、これからどうしようか。
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