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「count up」
僕が溶ける季節が来ることを
僕は知っている
目を閉じたらあの日の情景が
まだ眼裏に焼き付いているのだと
なんとかかんとか歩いてきた僕を
あの日はいとも簡単に潰してしまうのだと
Count up!
春よ春よ 終わることなかれ!
脱ぎ捨てられた春色の服を
拾い上げるのは僕なんだ
切り捨てられた僕の言葉を
また繋ぎ合わせるのは僕なんだ
傷付くのは僕なんだ!
爪先から溶けていってしまうような
泪があっという間に蒸発してしまうような
言葉が焦げ付いてしまうような
影が眼裏に焼け付いてしまうような
そんな夏が永遠に来ないのなら
泪も 言葉も 影も 僕も
夏はあっという間に
殺してしまうんでしょう?
それなら夏なんているものか
Count up!
僕が嫌いな夏がくる!
僕が嫌いな君がくる!
君さえいなかったら良かったのだと思う
君さえいなかったら良かったのだと思う
詮無いことなんだけれども!
夏がくるのをさくらの花びらを握って
夏がくるのを思い出のかけらを握って
ただただ痛みに耐えながら
ただただ泪をこらえながら
夏がくるのを待っている
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