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どうしてこうなった。
未知の世界へ来てしまったのもそうだが、それ以上に今の状況は心臓に悪い。
俺の右手には、小さく柔らかい女の子の手が握られていたのだった。育ち盛りの男子としては、胸の鼓動が早くなるばかりなのである。
手を取ったところまでは良かったが、それからというものの解放してくれそうにもなく連れまわされている次第だ。そして、彼女のあまりにも楽しそうに案内をする姿に、振り払おうにもそれが出来ずに居る。
「――でね…………って、聞いてるのかい?」
肩を並べ歩く少女は、頬を膨らませムッとした表情を浮かべた。彼女の素性など知り得ないが、中学生くらいの見てくれはどうにも愛らしさを感じさせる。
「ごめん、ごめん。それより、名前は何て言うの?」
互いに名も知らぬと言うのに、この打ち解け具合。もしかしたら、夢の世界なのかもしれない。いや、願わくばそうであって欲しいというだけか。兎にも角にも、現実でのような気遣いだのなんだのを考えない程度には現状を信じ切れていない。
「ああ、そうだったそうだった。私としたことがうっかり……私はレノラって言うんだ。よろしく、城ヶ崎 二二(じょうがさき ふじ)」
幼さの残る、それでいて凛とした声で爽やかに名乗った彼女ーーレノラは天然百パーセントの金髪を靡かせ、暖かな笑顔を見せてくれる。
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