1 賭け

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1-10 とりあえず武さんに電話してくる、と通話可能エリアに移動する。  談話室でも通話できるけど、武さんとの会話は誰にも聞かれたくないし、日本語だからといって油断もできない。  ガラスの扉をあけ、時差を確認し、コールする。メールより、やっぱり声が聞きたい。  耳慣れない呼び出し音が、途切れる。 『……将志?』  俺の好きな声だ。心配そうで、おだやかで。名前を呼ばれただけなのに、軽く意識を持っていかれそうになる。 「……うん、俺」 『佑さんの具合……どう?』  なんかもう……なんでもいいから喋ってて。 『……悪いの?』  ああ、沈黙が長くなってしまったから、心配させてしまったのか。……なにやってんだ、俺。 「武さんあのね、俺……、赤ちゃんできたみたい……」 『……っ!?』  ゲホゲホと咳き込む音だけが聞こえてくる。
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