episode.1

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あいつが居なくなってから1か月。 その間に何度泣いただろう。 何度 墓へ通ったんだろう。 俺は葬式に行けなかった。 行きたいと頼んだが、あいつの両親に 親戚のみでやりたいと言われて断られてしまった。 2人の関係なんて言えなくて、あいつの両親からしてみれば「ただの高校時代の同級生」でしかなかったんだろう。 だから仕方ないのかもしれない。 だけどさ。 最後くらい一緒に居させてくれても良かったんじゃないか。 墓にしか話しかけることができないなんて、悲しいじゃないか。 安らかに眠るお前の姿を一目でも見たかった。 お前が息を引き取る時、俺は傍に居てやれなかったから…最後に謝りたかったのに。 「……ごめんな」 またこうして墓に声をかける。 仕事帰りに毎日 ここへ来て、花を供えて、謝って。 なぁ。 「どうしたらまた、お前の優しい笑顔が見れる?」
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