ルームシェアの君へ

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「杏菜、今夜友人と飲みに行くけど、一緒に来ない?」 「え?私もいいんですか?」 「うん。紹介するよ。」 紹介、という言葉に反応したのか、杏菜はぱあぁ!と笑顔になった。 そんなに嬉しいことなのかな? 「服ある?」 「あ、やっぱりお洒落しないとあれですか?」 「やっぱり。買ってあるから、それ着てきて。時間と場所はあとから連絡するから。あ、化粧もしろよ?」 パーティー用のドレスが入った箱を渡し、有無を言わせず押し付けた。 今夜は杏菜が気に入るだろうメンズを引き連れ、出逢いのセッティングをしてある。 もちろん、ちゃんと知り合いで仕事もして、自立していて、顔も良くて性格も選抜した。 「気に入るといいなぁ。」 柄にもなくキューピット役を楽しむ。 素敵な恋人を作らせ、過去の恋愛を塗り替えよう作戦は、我ながら名案だと思った。 誰に紹介しても恥じない彼女なら、自信があった。
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