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一瞬、思考停止。
その間に、バップは僕達のボートに飛び移ろうと助走をかけてきたから、さぁ大変。
もちろん、乗せるなんて真似はしないよ。
必死に漕いでいると、アリシアがボートの下に飛びだって……。
ゴォォォォォ!!
凄い水しぶきを上げて、ボートが進み始めた!
「クルーテン(クール)!!」
でも、その後ろでバップが……。
「おーい、置いてくなんて酷いぞー!!」
水の上を走ってたの……!!
忍者!? 侍!? 芸者!?
ワーオ、僕もやってみたい!!
「何あれー!?」
「あれは、普通の常識人じゃできませんから」
「忍者ー!?」
「駄目ですよー、マリア君。貴方は普通の人間なんですから、人間離れした人と同じことなんて無理ですよ」
「ヤクモ、忍者!!」
「駄目だ、聞いてませんね……」
忍者、忍者は居たんだ!!
常識がない嫌な奴だけど、バップは確かに忍者!!
クルーテン!!
「……はぁ、これ以上橘君の思い通りにはいかせませんよ!!」
スッと立ったヤクモは、手にポッキーを持ってたの。
それを、手裏剣っぽく投げて……、クルーテン!!
なんだ、忍者っていっぱい居るんだね!?
「おおー、ポッキーだ!!」
「アリシアちゃん、もっと速度を!!」
日本のジダイゲキを間近で見ちゃって、もう大興奮!
水の上は走るし、手裏剣も投げれるし、本当に刺激的だと思う!
思ったより楽しいよ、この十六夜学校!!
来て良かったよ、お父さん!
生きてたら、この光景を千尋と一緒に見たかったな……。
千尋は、日本が好きだったから。
「走りますよ、マリア君!!」
「ヤクモ、何処に行くか決めてるの?」
「私達の寮に戻りましょう、あそこは橘君は立ち入ると罰則されます」
こんないいお天気なのに、逃げるために家の中に閉じこもるだなんて。
本当に、バップのやつはいい迷惑だよね。
でもまぁ、いいパフォーマンスを見せてもらったし、まぁよかったかな?
「八雲ー!! 真白はオレの友達だぞぉぉぉぉ!!」
「チィッ、もう来てしましましたか……!!」
八雲一人なら、どうにかなりそうだけど、僕の足が遅いからなかなか進めなくて。
口の中が甘ったるくなってきて、息も苦しいの。
もう、限界かもね?
立ち止まって休憩したいよ……。
「マリア君、追いつかれます!!」
「駄目、も、限界……」
ああ、冷たい水が飲みたい……。
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