第1章 サヨナラから始まる物語

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そうして、僕の学校生活が始まった。 学校が始まるのは明日から。 それまで、八雲が僕の部屋とか八雲の部屋とか、買物をする場所を教えてくれた。 生活費術品は学校内に揃ってる。 でも、僕が欲しいシャンプーやリンスは置いてない。 こればっかりは仕方ないね。 この学校はお金持ちも多いけど、それ以上に優秀な生徒を『奨学金』で入学させてるらしいから、一般生徒でも買える代物を用意してるんだってさ。 お金持ちの子は大体欲しい物はネット通販で買うか家の物に用意させるんだって。 僕も、お父さんに頼んである程度の物を用意してもらおうかな? それとも、日本に居るお爺ちゃんお祖母ちゃんを頼ったほうがいいのかな? 一番いいのは、ネット通販なんだけど、パソコンって難しいから使い方がわからないの。 僕、調理器具なら使えるけどそれ以外の機械は一切駄目なの。 だから、携帯だって持ってないね。 あ、でも大丈夫。 お父さんと連絡を取るのは、全部伝書鳩の『アリシア』がやってくれるよ! この学校に来てからは、遊ぶ場所が多くって遊びに出かけてるけど、口笛を吹けばすぐに来てくれるよ! 「そうだ、マリア君。非常事態の時に備えて、連絡先を控えておきたいんですが……」 「あー、ちょっと待ってね」 早速きたか。 ぴゅーっと口笛を吹いて数分後、スマフォを抱えたアリシアが飛んできたの。 「な、何故ハトに携帯を持たせてるんですか?」 「それはね、アリシアが伝書鳩だからだよ」 「ご自身で使わないんですか?」 「使い方が分かんないの」 現代の伝書鳩は携帯持ち、これ常識ね。 科学が進歩すれば、伝書鳩だって持ち物は変わる。 普通でしょ? 「は、はぁ。アリシアちゃん、ありがとうございました……」 だって、遠いロシアまで飛んで行くには疲れちゃうしね。 羽を休める場所だってないし。 鳥が飛行機なんて乗れないでしょ? だから、スマフォを持ってるんだよ。 連絡先交換が終わると、アリシアは早速飛んで行ってしまった。 「ずっと野放しで連絡が取れるんですか?」 「スマフォにメールか電話がくれば、すぐに戻ってくるんだよ」 「移動してもわかるものなんですか?」 「うん、わかるね。どうやって理解してるか、わかんないけどね。アリシアはとっても賢いレディなの」
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