第1章 サヨナラから始まる物語

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ボートに乗ろうね、ってことで池に向かったんだよね。 そうすると、スマフォを持ったハトが必死に求愛してる現場を発見しちゃってさ……。 どう見ても、アリシアだと思うの。 相手は目がくりくりしたレディ。 アリシアもレディだから、女の子同士だね。 マチルダ出身のアリシアだから、無理もないと思うよ。 あっちで、たくさんの彼女を作ってたみたいだし。 ただし、皆ハトだけどね。 「おや……、振られちゃいましたね」 「そうみたいだね」 相手のレディは飛び立ってしまった。 残ったアリシアは、何事もなかったみたいに僕の所に飛んでくるの。 「朝から必死に何してるのかと思えば、彼女探してたんだね」 「あれ、さっきのハトはメスだったんですか?」 「そうだよ、アリシアは女の子にしか興味が無いんだ」 「ひ、人のことは言えないのでなんとも」 そういえば、ここは男子校だからヤクモの相手も男の人になるんだよね。 日本って、ロシアに比べるとLGBTに優しいと思うの。 だから、アリシアにも可愛い彼女を作って思う存分デートを楽しんでほしいな。 まぁ、前みたいに10股かけて見つかったとしても、僕は部屋に入れてあげないけどね。 「アリシアちゃん、遊びに行かないんですね?」 「好みのハトが居ないみたい」 「そうなんですか……。今度、ハトの多い公園にでも行ってみましょうね」 「ありがとう、アリシアも喜ぶと思うよ!」 僕の肩の上では、アリシアが必死にハトの多い公園をスマフォで検索してた。 「そういえば、アリシアちゃんのスマフォってよく傷がつきませんね」 「特殊ガラスなの」 「へぇー、羨ましいです。結構高いんですか?」 「マチルダのお姉さまが作った物で、また特許申請中だよー」 「そうなんですか、なら買えないんですね」 「そういうことになるね、ごめん」 「いえいえ、そんな」 アリシアは、くちばしを器用に使ってスマフォを打つの。 日本で流行ってたフューチャーフォンは使えないんだけどね。 タッチパネル式だから、使えるみたい。 「さ、ボートに付きましたよ。一周しましょうか?」 「うん、そうだね!」 そういって、漕ぎだした瞬間、遠くから嫌な奴の声が聞こえてきたの。 そう、あれは紛れも無くバップの声。 「真白、オレを置いていくなんて酷い奴だな!! そうか、八雲に騙されたんだな! 今目を冷まさせてやるぞ!!」
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