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後ろにバップが迫ってきても、今さっき休憩し始めたからまだ走れるほど体力は戻ってきてないよ。
必死にアリシアがバップの気を逸らしてくれてるけど、それでもバップのやつは足が速い。
モンスター並だね、あぁ怖いや。
走ろうかな、と思ったけど、足がもつれてなかなか走れなくて転んじゃった。
「へぶっ……、もう無理……」
「くっ……!! 橘君、止まりなさい! マリア君に近づくことは校則違反ですよ!!」
「そんなの知るか、真白を離してやれ! オレの友達だぞ!」
「いいえ、違います! マリアくんは貴方と関わらないことを理由にこの学園に留まったんです!!」
あーあー、もう疲れたー。
あつーい、シャワー浴びたーい。
暑苦しいバップを見てると更に熱い。
お部屋帰りたいけど、寮の方向はバップが通せんぼしてるし、下手に動くと僕をかくまってくれてるヤクモに迷惑がかかるしなぁ。
アリシアも必死に、バップの邪魔をしてる。
っていうか、この短時間でアリシアはバップのことを『敵』と認識してるなんて。
頭良いなぁ。
でもなぁ、なんだか眠くなってきちゃった。
「ヤクモー、ねむーい」
「マリア君!? くっ、どうしましょう……!!」
あそこの日陰が寝やすそうだなー。
「真白ぉぉー、今助けてやるぞぉぉぉ!!」
バップが煩くて、アイツが喋ったら眠気も吹っ飛ぶね。
あー、うるさい。
どうしようかな。
辺りを見渡してたら、別な道を見つけたの。
ここはヤクモとアリシアに任せて、僕は先に逃げることにするよ。
逃げようとしていると、進路方向を見えないようにさり気なくアリシアが目隠しになってくれて、流石だね!
そうして、二人のお陰で僕は寮に辿り着いたの。
この寮は、指紋式だから生徒会と僕しか入れないっていう完璧なシステムなの!
対バップ用に作った機能なんだって。
部屋に入って、ヤクモ達が見える方向の窓を開ける。
すると、アリシアが僕に気づいてくれた。
「ヤクモー、部屋ついたよー」
「だ、駄目です!! すぐに窓を閉めてください!!」
「へ?」
その時だった。
一瞬でバップが、窓に飛び移ってきて……!!
も、もうどうしよう!
わかんなくて、窓を閉めたけど!!
「止めて、入ってこないで!!」
「何をするんだ、痛いじゃないか! さては、全部八雲の仕業だな!!」
「最低、入ってこないで! このバップ!!」
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