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心臓がバクバクいってる。
怖くて、体に力が入らないの。
バップが無理やり窓をこじ開けるし。
腕も掴まれて、体全身に鳥肌が立ったの。
だって、今のバップは人間に見えない。
そう、恐ろしいモンスターにしか見えない。
そうしてる間に、バップが部屋に入ってきて、もうどうしよう!
「うわぁぁぁーん、もうやだよー!! 千尋ー!」
「大丈夫だ、助けに来たぞ!」
「うわぁぁぁーん、あっち行ってよー!!」
その時だった。
「哉人、お前ここで何をしてる!」
「あ、爺ちゃん。真白と遊ぼうと思ってさ」
「卯月君とは接触禁止にしただろう!?」
「え、なんでだ!? 真白はオレの友達だ!!」
慌てて入ってきたヤクモとオトネによって、バップは連れだされたけど、まだ怖くて体の震えが止まらない。
物凄い力で掴まれて、どうしようもできなくて、本当に怖かったの。
「クルッポー……」
「うわぁぁぁーん、千尋ー!!」
どんなに、どんなに泣いたって千尋はもう来ない。
だって、千尋は心臓が弱かったから、胸を押しつぶされて死んじゃったから。
わかってるんだけど、無性に千尋に会いたいの。
怖い、怖いよ千尋。
「わぁぁぁぁーん!!」
「真白ー、パパだぞー? 真白ー」
「わぁぁぁぁーん!」
「真白ちゃーん、ママよ~。大丈夫よー?」
電話から、お父さんとお母さんの声が聞こえる。
でも、まだ怖くて力が入んない。
凄い勢いで掴まれた感触が残ってて、まだ体がガタガタ震えるから。
「うわぁぁぁぁーーん!」
「もう、パパ!! なんで真白を一人で日本へやったのよ!」
「真白のためだと思ったんだよ、一人立ちできないし」
「クルル……」
アリシアが必死にすりすりしてくれるけど、体の震えは止まんない。
そのうち、だんだん眠くなってきて……。
「マリア君ー、大丈夫ですか? っておや、寝ちゃったんですか」
遠くから、ヤクモの声が聞こえる。
なんだか安心してきて、そのまま……。
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