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気がつけば、もう夕方。
ベッドの上で寝てたみたいだね。
枕元にはアリシアも寝てた。
今日アリシアは頑張ったから、疲れちゃったんだね。
アリシアを起こさないように、扉を開けるとヤクモ達の話し声が聞こえてくる。
「無理ですよ、マリア君をマチルダに帰しましょう」
「だが、しかし……」
「それか、あの馬鹿を退学にしろ」
「でも、それは……」
「今日のマリア君を見なかったんですか? あの二人の相性は最悪です」
「哉人に言い聞かせるから……」
「あの馬鹿は、綺麗な物が好きなんだ。自分の物にできるまで、ずっと追いかけてくるぞ」
「追いかけられるマリア君が可哀想ですよ」
「っていうかさー、マリアちゃんは完全温室育ちのいいとこの子なんだから、野生児の相手なんてできるわけないじゃーん?」
マリア、ちゃん……!?
「しかし、見た目のいい者を学校内に居れないと、学園の人気が下がってしまう……」
「まぁ、アイツは白兎みたいで可愛いけど、本人は凄く泣き虫で臆病だ。そんな奴が考えなしの馬鹿に立ち向かえるとは思えないぞ」
「……絶対、無理」
僕は……、僕は泣き虫じゃないもん!
バップになんて負けないし、今日はびっくりしただけだもん!!
文句を言いに行こうとしたら、肩にアリシアが乗ってた。
スマフォはベッドの上に置いてあるけど。
「クルッポー」
駄目だよ、そう言う風にアリシアは首を左右に振ったの。
「でも、アリシア」
「クルッポー」
アリシアの意志は変わらないみたい。
僕に、行くなって伝えてる。
……しょうがないね。
その場に座って皆の話を聴き続けた。
下手すると、僕は明日にでもマチルダに帰らなくちゃいけない。
そう思うと、少し寂しい。
もうちょっとヤクモと一緒に居たかったのが本音。
だって、ヤクモは始めてできた男友達だし。
まだまだ見たい物もたくさんある、知りたいこともたくさんある。
それに……、千尋が恋した『日本』を見てみたいの、僕も。
紅葉や桜が見てみたいの。
「どうしても、マリア君にこの学校に居てほしいんだ。あの子が居れば、我が学校はもっと人気が出る」
正直、さっきのバップは怖かったけど……、でもここで逃げたらもっと後悔すると思う。
絶対、逃げたくないの。
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