第1章 サヨナラから始まる物語

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「真白、お前はもっと友達を作るべきだ」 そう言ったのは、僕のお父さん卯月 白麗(うづき びゃくれい)。 でも、僕、卯月 真白(うづき ましろ)には両手で数えられないくらいの友達が居ることをお父さんは知っていた。 それでも、お父さんは僕に”友達を作れ”って言うんだ。 それは、それは全て僕の友達が『僕のお姉ちゃんに繋がっている』から。 ……僕の双子のお姉ちゃん、卯月 千尋(うづき ちひろ)が死んだから。  千尋が死んだ日から僕は何をする気力も失って、ただただ千尋と一緒に歌っていた歌を口ずさんだ。 毎日のように、最後の日に千尋が食べたいと強請った料理を作り続けた。 そうした日々が続いた時にお父さんが言った台詞がさっきの台詞だ。 今思えば、無限に続く無気力な僕の生活をどうにかしたい、そう思ったからこそ僕を一人で全寮制の学校へ送ったんだと思う。 そして、今目の前にそびえ立つ白亜の学校は、日本のお金持ちが集まるお坊ちゃま学校。 日本ではこういった学校は少ないんだってさ。 海外じゃ普通なんだけど、日本って土地が狭いだけあるよね。 白亜のアンティークな学校なんだけど、ここまで連れてきてくれた人はお城のようで美しい……、と言ってたけど海外によくある普通の学校って感じ。 学校に噴水があるのも普通だし、庭園もごくごく普通。 広いと言えば広いけど……、バラ園や温室、湖と言うほど広い池にはボートがあって、鳥達が暮らしてる。 これも全部普通なんだ。 だって、日本なんだから生徒は皆鎧兜とか忍者の格好をして剣なんて持って、温泉付きの学校って思うじゃない? 西洋風なんだから、聖マチルダ学校と全く変わらない、いやそれ以下だと思う。 マチルダのほうには、デパート級のショッピングモールもついてるし、映画館とか水族館などその他多くのレジャー施設が学校内に完備されてる。 それに、綺麗な外見の教会やダンスホールも立ってて……、正直マチルダ以下の学校だとは思わなかったから、ちょっとショックだった。 だって、お父さんはこの十六夜(いざよい)高校を『マチルダの男子校版』だと語ってたから。 あ、ちなみに聖マチルダはロシアにある女子校だよ! 僕のお父さんが勤めてる高校で、お父さんはマチルダで料理長をしてるんだ。
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