第1章 サヨナラから始まる物語

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世界中のお金持ちでも、選りすぐられた『レディ』しか入れないお嬢様学校。 しかも、学生は美人しか選ばれないから、学校に関わる人達も皆何かの腕前が凄いのは当たり前だし、見た目もよくないといけないから、聖マチルダに就職できるだけで凄いんだってさ。 気がついたら、ずっとマチルダで料理修行をしてるから実感しないけど。 それにしても、この門ってどうやったら開くんだろう? 指紋認証って何処でやるの? 門を見てもインターホンしかないし、第一押してもなんて言えばいいのかわかんないよ……。 名前を言ったら開いてもらえるの? それとも、日本で合言葉になってる『開けゴマ』って言えばいいの? お父さんは、困った時は必ず『開けゴマ』って言えば大体の扉は開くと教えてくれたけど……、合言葉が違った時、どうやって忍者や侍を対処すればいいのかなんてわかんないし……。 今のところ忍者も侍も居ないけど、お父さんは「悪いことをしたら、忍者や侍に斬り殺されるから注意して」って言ってた。 でも、ここの建物に入らないと、念願の忍者になることもマチルダに戻ることもできないし……。 とりあえず、インターホンを鳴らした。 そうして、一呼吸して「開けゴマ」と言う。 すると……、インターホン越しに大きな笑い声が聞こえてきて……。 ……あれ、何か可笑しかったかな? なんて首を傾げる。 「え、えぇと……名前を教えて下さい」 「本日入学予定の卯月マリア真白です」 「は、はい……。い、今すぐに門を開けます、ので……プフッ」 何が可笑しいかわかんないけど、笑われたことで顔が真っ赤になる。 それでも、門は開くんだからいいやと思って待ってると……。 待ってると……、何も起きない。 「あ、あれ? なんで?」 泣きそうになりながら、辺りをきょろきょろと見渡していると……。 「うおー、遅刻するぅぅぅー!! どいてくれぇぇぇ!!」 真っ黒なアフロの日本人が大きな門をよじ登って行ってしまった。 日本の門って、よじ登らなきゃいけないなんて……、知らなかった!! 流石侍の国、ジャパン。 鍛え方が違うなんて……、マチルダ以下なんて思ってたけど、思ったより凄いのかも!? そう思いながら、目の前にある大きな門を見てごくりと生唾を飲み込んだ。
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