第1章 サヨナラから始まる物語

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僕も……、僕も忍者になるんだ!! 後で門の隙間から入れられるように、荷物は門の近くに置いた。 それでもって、助走をつけて勢い良く走って、そのままさっきのアフロ君みたいにかっこよく門を飛び越えよう!! 脳内で忍者のようにかっこ良く門を飛び越える自分をイメージすると、準備は完了。 助走をつけて走る!! そして、門に捕まって……、捕まって……。 う、腕が持ち上がらないよーっ! 捕まってるだけで精一杯で、どうしよう!? 地面まで結構距離があるし、このまま門にぶら下がってなきゃいけないの? そんなの嫌!! 必死によじ登ろうとするけど、全然腕に力が入らないの。 ……本当に、どうしよう。 このまま落ちたら足挫いたりしない? 「うえぇぇーん、ちーひーろー!! もう僕お家帰るー!!」 もうやだやだやだやだ!! 忍者になんてならなくていい! 飛び越えるのなんて、無理なの! 僕は日本人の血も入ってるけど、ほとんどロシアで暮らしてたし、スーパーサイヤ人の血を引く日本人とは育ち方が違うの!! 降りれないし、怖いし、もうヤダ! 「うわぁぁぁーん!! もう、忍者ならなくていいー!!」 「……す、すぐ助ける……」 「うわぁぁーん、足いたーい! 腕いたーい! あつーい!! もうお家帰るー!」 「はーいはい、すぐ降ろしてあげますからー」 その後、無事に降ろしてもらえた。 悔しくて、なんだかまだ涙は出てくる。 こんなことで、忍者になれるのかな……? 木の葉の里の優秀な人とか居たら、怒られちゃうかも……。 「はーい、マリア君いい子でしたねー。はい、これをどうぞー」 助けてくれた眼鏡のお兄さんが手渡してくれたものは、真っ赤ハート型のペロペロキャンディー。 「……ありがとうでござる」 「ござるなんて、今どきの人は使いませんよ。それに、現代に忍者も侍も居ません」 「え、そうなんですか? 日本人は皆スーパーサイヤ人だからなれるんじゃ?」 「……そんな事実、ない」 「え、え?」 「木の葉の里なんかもありません、開けゴマも通用しませんよ」 「えーっ!?」 お父さんが教えてくれた日本と、目の前の人達が言ってる日本は全然違いすぎて、頭がどうにかなっちゃいそう。 どっちが本当なんだろう?
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