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とりあえず、ペロペロキャンディーを食べようと思って思いっきり噛んだら……。
「うぇぇーん、痛いよー!」
「ほらほら、噛まずに舐めなさい」
「弟に、似てる……」
「おや、弟君ですか? 何歳なんでしょう?」
「六歳」
「お、おやまぁ……」
「僕十六歳だよ、全然違うの!」
「はいはい、そうですねー」
眼鏡のお兄さんたちに手を引っ張られて、僕は学園内を案内してもらった。
色々教えてもらったけど、広すぎてよくわかんないや。
そうして、辿り着いたのは生徒会室。
さっきのアフロの男の子も居た。
そして、そのほかにも……。
「ひー、くるしー!!」
「い、今どき開けゴマとか言う子が居るとか」
「俺言ってないぞ!」
「誰がお前の話をしたか、このモジャ頭」
「失礼だな、爺ちゃんに言いつけるぞ!」
「おー、勝手にしやがれ。甥っ子だかなんだか知らないが、理事長はお前の躾を頼んできたんだからな」
「なんだと、爺ちゃんまで惑わすとは卑怯だぞ! お前みたいな悪の組織なんかには負けないんだからな!!」
「ギャーハハハハッ、今どき悪の組織だってさ!!」
悪の組織!?
中では、胸躍るヒーローバトルが繰り広げられてるの!?
「マリア君、先に言っておきますが、このご時世悪の組織はヤクザくらいですから、さっきの発言は間違いですよ」
「なんだ、そうなんですねー」
「……あいつと一緒、ヤバいかも」
「そうですね、無知な帰国子女に変な知識を植え付けられても困ります」
「変な人なんですか?」
「えぇ、そうですね。貴方は教えられた事が理由で変ですが、あの人の場合思い込みで変ですから……」
「厄介」
ぼ、僕の変だったなんて……。
落ち込みつつ、飴を舐める。
甘い飴は優しく僕の心の傷を癒してくれる、そんな優しい苺味だった。
「さぁ、暫くすると理事長もいらっしゃるので、中でお待ちください」
眼鏡のお兄さんは、生徒会室の扉を開けて恭しく頭を下げてくれた。
僕も会釈すると……。
「あ、お前だけずるい!!!」
さっきの黒いアフロの子に、食べてたペロペロキャンディーを奪われてしまった。
とっさのことに何が起こったかわからなくて、ただ呆然と目の前の男の子がペロペロキャンディーにがっつく姿を見ていた。
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