第1章 サヨナラから始まる物語

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とりあえず、ペロペロキャンディーを食べようと思って思いっきり噛んだら……。 「うぇぇーん、痛いよー!」 「ほらほら、噛まずに舐めなさい」 「弟に、似てる……」 「おや、弟君ですか? 何歳なんでしょう?」 「六歳」 「お、おやまぁ……」 「僕十六歳だよ、全然違うの!」 「はいはい、そうですねー」 眼鏡のお兄さんたちに手を引っ張られて、僕は学園内を案内してもらった。 色々教えてもらったけど、広すぎてよくわかんないや。 そうして、辿り着いたのは生徒会室。 さっきのアフロの男の子も居た。 そして、そのほかにも……。 「ひー、くるしー!!」 「い、今どき開けゴマとか言う子が居るとか」 「俺言ってないぞ!」 「誰がお前の話をしたか、このモジャ頭」 「失礼だな、爺ちゃんに言いつけるぞ!」 「おー、勝手にしやがれ。甥っ子だかなんだか知らないが、理事長はお前の躾を頼んできたんだからな」 「なんだと、爺ちゃんまで惑わすとは卑怯だぞ! お前みたいな悪の組織なんかには負けないんだからな!!」 「ギャーハハハハッ、今どき悪の組織だってさ!!」 悪の組織!? 中では、胸躍るヒーローバトルが繰り広げられてるの!? 「マリア君、先に言っておきますが、このご時世悪の組織はヤクザくらいですから、さっきの発言は間違いですよ」 「なんだ、そうなんですねー」 「……あいつと一緒、ヤバいかも」 「そうですね、無知な帰国子女に変な知識を植え付けられても困ります」 「変な人なんですか?」 「えぇ、そうですね。貴方は教えられた事が理由で変ですが、あの人の場合思い込みで変ですから……」 「厄介」 ぼ、僕の変だったなんて……。 落ち込みつつ、飴を舐める。 甘い飴は優しく僕の心の傷を癒してくれる、そんな優しい苺味だった。 「さぁ、暫くすると理事長もいらっしゃるので、中でお待ちください」 眼鏡のお兄さんは、生徒会室の扉を開けて恭しく頭を下げてくれた。 僕も会釈すると……。 「あ、お前だけずるい!!!」 さっきの黒いアフロの子に、食べてたペロペロキャンディーを奪われてしまった。 とっさのことに何が起こったかわからなくて、ただ呆然と目の前の男の子がペロペロキャンディーにがっつく姿を見ていた。
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