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「いや、おまたせしたね。私が、この学園の理事長だ。卯月君、遠いロシアからよく来てくれた!」
「よろしくお願いします、でも僕もう帰りたいので」
「い、い、いや……、そ、それはちょっと……」
単刀直入に言うと、理事長って人は物凄く汗を流しながら焦ってる様子。
でもさ、バップが居る学校なんてゴメンだよね。
「僕がココに居るメリットなんてないよ?」
「ま、まぁそう言わないで……」
「マチルダのほうがいいね」
「う、卯月君。君はここのコック長になるためにやってきてもらったんだよ……」
「コック長?」
「そ、そうさ。学校を卒業したら、君専用の家も作ろう。約束するよ?」
「ふーん、それじゃそこのバップ追い払って」
「そ、それは……」
「じゃあ、マチルダ帰る」
すると、理事長はさっきヤクモが言ってた『土下座』を披露した。
「頼む、この通りだ!! 何年もお願いして、ようやく兄さんから許可をもらえたのに!」
でも、僕ロシア人みたいなものだし日本ってほとんど知らないしね。
時々遊びに来るくらいで、京都にはよく遊びに行ってた程度だし。
そんなに愛着のない国だし、土下座のパフォーマンスを見せられてもぐっとこないの。
だって、日本人って謝ればすむって思ってるでしょ?
そこが、嫌い。
謝って流して、結局何も解決できてないじゃん。
「結局、理事長が頭を下げて何が解決するの? 僕は土下座のパフォーマンスが見たいんじゃなくて、具体的にこの問題がどう解決できるの? って聞きたいの」
ここまで言わないとわかんないなんて、最悪。
ここって面倒、帰りたい。
景色は確かに綺麗だったね、でも住むところじゃないよ。
「なんで、爺ちゃんを虐めるんだ!! お前のせいで俺も怒られたし、お前帰れよ!!」
「帰りたいけど、君のお爺ちゃんとやらが帰してくれないの」
「嘘言うな!!」
「さっきの話、聞いてたの?」
この日本人って、なんで言葉が通じないの?
僕、そんなに日本語変かな?
「こら、哉人!! さっきも言っただろ! まだわからないのか!」
「俺が何悪いことしたって言うんだよ!!」
「人の食べ物を盗ったらしいじゃないか!」
「それなら、また新しい物を開ければいいだろ?」
当然、という顔でバップはため息を付いた。
どうやら、日本が変じゃなくてこのバップが可笑しいらしい。
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