第1章 サヨナラから始まる物語

9/15
前へ
/15ページ
次へ
「じゃあ、なんで自分で買おうと思わないの?」 「そこにあるんだから、それでいいだろ!」 「他人の物なのに?」 「他のものを使えばいいだろ?」 「自分が他のものを使おうと思わないの?」 「オレが使いたいと思ったんだ、それを使うのが当然だろ??」 駄目だ、この学校には居られない。 こんなにイライラした相手なんて初めて。 特にメリットのない学校に用なんてない。 日本に居なきゃいけないなら、他の学校を当たればいいしね。 そうだ、京都の学校に行こう。 きっと『雅』な感じの和風な人達が居るかもしれない。 そういう人なら、きっと謙虚で僕が求めていた日本人ばかりかも。 もしかしたら、忍者や侍も居るかもしれないし。 「ねぇ、入学は無かったことにして?」 「ま、待ってくれ……、卯月君……!!」 「僕に自由はないの? 拒否権はないの?」 「そ、そういうことじゃないんだが……」 「じゃあ、無かったことにしてよ、もううんざり」 「お爺ちゃん、そんな奴に構うなよ!! 悪いやつに洗脳されちゃ駄目だ!」 理事長がバップをひと睨みすると、さっきバップを連れて出て行った人は、即効バップを連れて外に出て行った。 その間、他の人達は凄く苦しそうな顔をしてる。 一番優しくしてくれたヤクモに悪いことをしたと、徐々に理解し始めてきた。 理事長もヤクモ達も、何も悪くはない。 でもね、ここで引いたら僕ずっと「外国人、帰れ」って言われ続けるんだよ? 絶対、引けない。 「もう、いいだろ。なんで理事長はそんな馬鹿に拘るんだ」 「この学校にしか……、この学校にしかもう居られないんだ……。最後の砦なんだ……」 「自業自得もいいだろ。それに、最初に問題を起こして退学したやつをなんで戻すかな?」 「退学したの?」 「あぁ、そうさ。この橘 哉人はな、俺等が一年の時に同じ一年として転校してきた天敵だ」 「僕の……、恋人を奪ったまま転校したんです」 「ワーオ……」 こんな状態なのに、よく転校しないよねと思う。 そんなにこの学校がいいとは感じないけどな。 「それでも、僕はこの学校が大切で……、もう壊れてしまったけど、恋人との思い出が残る大切な学校なんです」 ヤクモ……。 日本に侍が居ないなんて嘘だ。 ヤクモは、立派な侍だ。 ブシドーがきちんとある。 「しょうが無いね、バップを近寄らせないことを条件でのむよ」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加