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「ねぇ、何?教えてよ。」 「…俺はお前の事が好きだから、だよ。」
そう言って彼はフッと目をそらした。
その横顔にはほんのりと赤みがさしている。
私もつられて顔を赤くした。
「えっ!本当に?」
「本当だよ。俺は、ずっとお前の事が好きだったんだ。……何回も言わすなよ、恥ずいだろ。」
照れながら話す彼。
私は何だか嬉しくなって思わず彼に抱きついた。
ずっと心の中に押し込めていた気持ちが溢れ出す。
「私も…貴方の事が好き。ずっとずっと前から好きだった。」
「え…マジ?」
「うん。でも、貴方に告白する勇気が無くて。憧れでもいいと、叶わなくていいと思ってた。だけど…。」
私の目から涙がこぼれ出す。
悲しくはない。
これは喜びの涙だ。
ずっと彼に伝えられなかった事を伝えられるという喜び。
彼も自分の事を想ってくれていたという喜び。
そんなものが折り重なって今、涙として流れている。「だけど…、私は貴方が、貴方の事が大好きです。」そう言った瞬間、私は彼に抱き締められていた。
耳元で彼が囁く。
「愛してる。」
そして、頬へのキス。
その時、境内の方から鐘の音がなり響いた。
新年を告げる鐘の音だ。
私は微笑みながら彼に言った。
「あけましておめでとう。そして…、誕生日おめでとう。」
ー12月31日、その日は日本人にとっても特別な日であり、私達にとっても特別な日になったね。これからは毎年一緒に行こうね、約束だよ。ー
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