#1 雨宮 晴太(あまみや せいた)

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いや、ひとつだけ言うが、やめたくてやめたわけじゃない。 仕事で失敗したこと全くもって無い。 やめさせられるとは微塵も考えていなかった僕は本当に阿呆だったんだと思う。 気がつけば同じ部署の先輩が起こした大きなミスを、入社してまだ1年しか経っていない僕が濡れ衣を着さされていた。 入社したてのぺーぺーなんぞが反発なんてできるわけもな二ヶ月間僕は雑務を押し付けられた挙げ句、スッパリ退社を余儀無くされたわけだが。 今となってはよかったのではないか、解放されたんじゃないかと思えてきたほどだ。あそこにいたら自分がどんどん腐ってくような気がしのは気のせいじゃないはず。 そんな残念極まりない僕はいま一人部屋の真ん中で仰向けに寝転がり、天井の木目を無心で眺めていた。
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