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今の女の子の声のせいで何となく気分を害した。でも真面目に選手をやってる嵐には関係のない話だ。悟られないよう、平静を装って答えた。その理由も、何となく考えないことにして。
嵐はあたしの考えていることを窺うように2・3度まばたきをした。そして、ニッと笑うと、手を伸ばしてくる。
大きな手だと思った瞬間、それはあたしの頬をつるりと撫でた。
「……!?」
嵐の指先は、そのままあたしの頬をぷにっとつまんだ。
「なーにスネてんだ、おまえ」
「はひふんのよー!」
頬をつままれてうまく喋れないあたしを見て、嵐はげらげらと笑った。
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