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「ご、ごめんなさ……」
鼻先を押さえながら、顔を上げると。
「よーお、トモの妹!」
視線の先には、朗らかに笑う嵐がいた。トモは、うちのアニキ。
なぜか嵐はうちのアニキと先に友達だったから、こういう呼び方をしてくる。アニキの付属品みたいな言い方をされるのがいやで、昔はよく怒った。
「な……、まりかって呼びなよ!」
子どもの頃みたいに、手を振り上げて怒るふりをしようとした──瞬間。
「ねえ、嵐。ちょっと来てよー」
あたしに負けず劣らずの甲高い女の声が、親しげに嵐の名を呼んだ。
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