蜂蜜ジンジャー

4/38
前へ
/38ページ
次へ
  「ご、ごめんなさ……」  鼻先を押さえながら、顔を上げると。 「よーお、トモの妹!」  視線の先には、朗らかに笑う嵐がいた。トモは、うちのアニキ。  なぜか嵐はうちのアニキと先に友達だったから、こういう呼び方をしてくる。アニキの付属品みたいな言い方をされるのがいやで、昔はよく怒った。 「な……、まりかって呼びなよ!」  子どもの頃みたいに、手を振り上げて怒るふりをしようとした──瞬間。 「ねえ、嵐。ちょっと来てよー」  あたしに負けず劣らずの甲高い女の声が、親しげに嵐の名を呼んだ。 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

337人が本棚に入れています
本棚に追加