第1章 幽霊うわさと新しい友人

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 大杉先生のおかげで 良幸に幽霊の話をする生徒は減った。  でも 教員室では先生たちが「だいじょうぶか?」と良幸に声をかけ、幽霊話が増えてしまった。  大杉先生は ご親切にも 「また幽霊に会ったら 話を聞かせてくれよな。まとめて伝記にしてやるから」だって。 『しなくていいよ。とも言えないし困った先生!』  でも中学生には まだ自分を気にしてくれる大人は うれしいし複雑。  幽霊のせいで 良幸の生活まで変った。  まず 明利とのデートは 城以外で 明るい時間となった。  親には「もう城あとへ行くな」と 禁止された。  困った事は それだけでは無い。  近所の人が「田森さんちの子が幽霊にとりつかれたんですって」と うわさを広げた。  おかげで良幸の家族まで いろいろめんどうに巻き込まれた。  良幸の母は近くの神社で 神主(かんぬし)に霊のおはらいをすすめられ 良幸は清めの儀式(ぎしき)をさせられた。  母は高いお金をはらったのに 近所の人に 「幽霊なんて 気持ちの問題」と言われ がっくり。  その後 あやしい悪霊ばらいの押し売りが現れ  母は「必要ないです!」と 断らねばいけなかった。  地元の新聞記者たちは 家に押しかけ 「お子さんに 幽霊話聞かせてくださいよ」と せまる。  父は「うるさい!」と 取材者たちを ホウキで追いはらった。  姉まで「夜は オレがついてってやる」 「やだよ。もう子どもじゃない」  後でボス姉に恩を着せられたらたいへんだ。  世の中 なかなか自分につごうの良い方に進まない。
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