魔界の…

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この日を境に、彼女のセックス嫌いは克服された。 というより、彼女曰く。 嫌いではないが、『恥ずかしかったんだもん…』だそうだ。 言われて確かに、これまでの行為を省みてみる限り、俺も少しばかりワイルドが過ぎていた節もある。 それに幾らか反省しながら臨んだ翌週は、従来の性交でようやく彼女から及第点を賜ると同時に、数か月に渡るその切実な悩みが解消されることとなった。 特に最近では千可子もかなり積極的になり、ケツをぷりぷり振りながら俺を誘ってきたりもするくらいの魔性っぷりだ。 だが、まあ本人にその自覚がないのでやっぱり俺が一方的に魔獣並みの性欲を持っているのだと勘違いされてはいるんだが。 どうやら俺が読んだあの記事は、”魔界のセックス”の指南書ではなく、”魔性の女”の育成本だったというオチで今回はおしまいだ。 「ねぇ、虎夫だっこ…。」 「だからしてるだろ?抱っこ。」 ……可愛い彼女がグズりだす前に。 少し早いが、 俺は照明のリモコンに手を伸ばした。 END
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