side Torao

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「俺、昔からちーちゃんが好きでした。ホント、笑えるくらい昔っから、……ちーちゃんが、好きでした。」 もう戻らない過去でも見つめるようにそいつは目を細めて苦しげに俯いた。 「あんた、想像できますか?……自分の人生の半分以上を捧げた女に。……他の男が好きだって言われたときの俺の気持ち。」 「………。」 「あの時は相当悔しかった。…それに、正直あんたのことも呪い殺してやりたいくらいに恨みました。……でも。」 「でも……?」 「あんたのことが好きだって、……そう言い切ったときのちーちゃんが、びっくりするほど綺麗で……。俺は、そのとき…自分の出る幕はないってことにようやく気が付いたんですよ。」 「………。」 「……俺、何度も想像しました。あんたが実は最高に嫌な男で、ちーちゃんのことも弄ぶつもりで近付いたカスみたいな男だったら、って。何度も、何度も想像しました。」
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