第3話

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「お母さん、手短に話すと、腸が中に入り込んでしまって、そこが壊死したりする怖い病気で、うちでは処置できません」 ___え………… 「発症後48時間以内の処置が必要なので、すぐ総合病院へ向かわれてください」 医師はスラスラと紹介状を書いて、私に手渡し、 「受付で渡して。土曜ですから、時間外診療になりますが、すぐに小児科の先生が診てくれるはずです」 「は、はい……」 ただ事ではないことが、ヒシヒシと伝わる封筒だった。 そのかかりつけの病院でも、 「ごめんなさい、時間外診療になります」 予定外の出費をし、 「お母さん!急いで!だけど、事故しないように!」 『くっそー!多良田め!』 と、口に出して言いそうになりながら、 チャイルドシートに芹南を乗せる。 「痛い、ママ、痛い」 運転を始めると、更に痛がる娘。 こんなときに限って渋滞している。 信号で青になるのを待ちながら、 「はやくはやく…………」 よわっちい母親は、 また、 涙と鼻水まみれ。 総合病院に着いたのは、30分後だった。 ……芹南は、いつから発症していたのだろう?
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