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「ママ、ママ、て、痛い」
芹南は、手の甲から点滴の針を入れられて、そこに当てたガーゼが赤く滲み、
とても痛そうだ。
「ここから、ご飯が体に入っていくからね」
絶食だけど、水は少しなら与えて良かったので、
ぐずぐず言い出した時に、ちょっとだけ飲ませた。
「芹南、痛かったねー!」
実母が、色々買って病室を訪れる。
「あら、何も食べられないの?」
母は、芹南のために買ったマルボーロやゼリー、幼児用のジュースを残念そうに冷蔵庫に入れていた。
時計を見ると、夕方4時、
思えば、私も朝から何も食べていない。
「じゃあ、お母さん、ちょっと自宅にいくね、よろしくね!」
人見知りはしても、実母には なついているはずなのに、
「ママ、ママ!」
ベッドから乗り出して抱っこ要請ポーズを繰り返す。
きっと、別室での治療がよほど怖かったんだろう。
「芹南、ママはすぐ、戻ってくるよ」
母がなだめている間に病室を出る。
…………オモチャもいるな。絵本も。
私、しばらく風呂入れないし、
シャワーも浴びたいな。
何か口に入れたいし……
一時間で戻ってこれるかな?
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