第3話-2

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「佐藤、ちょっとこい」 あまり、従業員と口をきく事がない社長から呼び出される。 きっと、 ろくなことではない。 事務所に入ると、 先に入室していた山岡工場長が立っていた。 『まさか、 不倫疑惑?』 だとしたら、正造がチクった? それとも、 多良田? もう、さほど暑くもないのに、変な汗が背中を流れていく。 社長は、私と山岡工場長の前に立つと、 菓子の袋をひとつ、目の前で開け始める。 「この間、マドレーヌを出荷した児童施設からクレームがきたぞ」 「えっ」 社長は、開けたマドレーヌを半分に割って見せる。 「髪の毛が混じったマドレーヌ、 たくさんあったらしいぞ」 え__________ 「すみません、見せてください」 山岡工場長が、その髪の毛を引っ張り出す。 うわー 気持ち悪い。 「これ、 佐藤のじゃないか?」 そう言ったのは、社長だった。
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