第3話-2

33/40
前へ
/40ページ
次へ
「そんな、ご飯とか食べてる気分には……」 煙草の火を消して、手を振り、ノーの返事をする。 「こんな時だからこそ、お前がしっかり食べなきゃいけないだろぅが? 子供が気になるなら、一緒に連れてこい、何でも奢ってやるから」 「あ、いえ……」 芹南がいないこと、 話してなかったな。 「なんだよ?飯が不味くなるくらい俺、嫌われてんの?」 段々不機嫌になってくる山岡工場長。 今日は、下心はなさそうだ。 「娘、旦那にとられちゃったんです。 それが、母の心労になったみたいで」 別に、甘えたいわけじゃない。 さっき感じた猛烈な孤独感が、 誰かにきいてもらいたいと、 私の口を動かしてしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加