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「え、あー……そうですね」
朝からコーヒーしか口にしていない。
「母ちゃん心配だろうから、病院側のファミレスにしとこう」
「はい……」
実は、ファミレスに一人で入ったことはない。
芹南と二人でも、何となく入りづらかったから、離婚してからは利用したことなかった。
「ほんとは、M町の【フェローセヲ】ってパスタ屋に行きたかったんだけどな」
店の喫煙席側のつもりで窓際に座る。
「以前も、パスタ誘ってくれましたね」
「おう。そこ、すぐそばにラブホがあるからな。若いねぇちゃんとデートするときには持ってこいの場所なんだよ」
「………………やっぱり」
地元では、カップル定番のコースだから知っていた。
「お前が、正造にひどい目に合うのは本望じゃないけど、
それで、俺んとこに転がり込んでくるのも有りだな」
「ありません」
相変わらずの、遊び人発言連発の上司。
「お待たせしましたー、焼き魚定食のお客様は?」
「あ、はい。」
おかげで、変に意識せずに食事だけに集中できるランチとなった。
そんな私を、
工場長は、笑いながら見ている。
「…………な、なんですか?」
「飯をバクバク食べる女は、好きだな」
「!」
……なのに、
そんなことを言うから
「ワハハー急にしおらしくなるんじゃねぇよ!」
再び、
自分は、まだ女なんだなって思ってしまった。
バツイチで、
子供まで取られた情けない女。
こんな私を、
心から好きになってくれる人はいるのかな?
………………( 独身者に限る )
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