第3話-2

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食事が終わり、 再び、病院敷地前で私を車から降ろしてくれた山岡工場長。 「とりあえず、明日は休め。クリスマス前の多忙に備えて、母娘で滋養しとけよ」 最後まで、親切だった。 「ご馳走さまでした!ありがとうございいました」 私は、車が見えなくなるまで頭を下げて、 後は大急ぎで母のいる病室へ向かう。 「苺……」 なんと 母は起き上がり、酸素マスクメを外していて、声まで出るようになっていた。 たった数時間で、何て回復力だろう。 「お母さん、もう起き上がっていいの?」 私の問いに、コクンと頷く母。 「私は大丈夫だから、あんたは仕事にいきなさい」 「大丈夫って、検査まで付き添うよ」 カテーテル検査は、家族が側にいた方がいいと聞いたことがある。 それでも、首を横に振る母。 「私が具合悪くなるそのたびに、あんたが仕事休んでたらきりがない」 「娘だから、仕方ないじゃない」 退院したら母と暮らすことも考えていた私。 「私は、あんたを一度嫁に出したんだよ。 何でも一人でしなきゃいけない覚悟はできてるよ。 ホントに苦しい時は、また電話するから、 それ以外は仕事休んだらだめよ」 「………………」 この間まで、『孤独死する』 とか、言ってたくせに………… 「苺の家族は、芹南と、優さんなんだよ」 母は、 やっぱり、復縁を希望しているんだ。 「検査の時と、退院の日分かったら教えて。洗濯物は取りに来るから」 自分と同じ道を、 娘には進んで欲しくないんだね。 わかるけど、 もう少し頼って欲しいな……。 「昨日、デートしてたな」
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