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「えっ」
朝、工場に入るなり
後ろから正造に話しかけられる。
「山岡工場長とドライブデートしてただろ?」
見られてたんだ。
どこですれ違ったんだろ?
「ドライブって、
病院で偶々会って、ご飯食べただけよ」
だいたい、なんで、そんなこと正造に説明しなきゃいけないのよ?
「飯ねぇ、下心ありありのオッサンと、お前、軽すぎるだろ?」
正造は自分を棚に上げて、偉そうに タイムカードを押す私の手をつかんだ。
「下心より悪質なのは、
口達者な非避妊主義者だと思うけど」
______言い過ぎ。
わかってるのに、
止まらなかった。
「ホントに、お前、下品な女だな?
もういいよ」
掴まれていた腕を放される。
″ もういいよ ″
「………………」
なによ、
それは、こっちの台詞だよ。
コックコートの正造の後ろ姿は、
とても、細く見えた。
一度、失った信用は、なかなか戻らない。
バツイチだからこそ、
そこは敏感なんだよ。
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