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「佐藤、ちょっとこい」
あまり、従業員と口をきく事がない社長から呼び出される。
きっと、
ろくなことではない。
事務所に入ると、
先に入室していた山岡工場長が立っていた。
『まさか、
不倫疑惑?』
だとしたら、正造がチクった?
それとも、
多良田?
もう、さほど暑くもないのに、変な汗が背中を流れていく。
社長は、私と山岡工場長の前に立つと、
菓子の袋をひとつ、目の前で開け始める。
「この間、マドレーヌを出荷した児童施設からクレームがきたぞ」
「えっ」
社長は、開けたマドレーヌを半分に割って見せる。
「髪の毛が混じったマドレーヌ、
たくさんあったらしいぞ」
え__________
「すみません、見せてください」
山岡工場長が、その髪の毛を引っ張り出す。
うわー
気持ち悪い。
「これ、
佐藤のじゃないか?」
そう言ったのは、社長だった。
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