第3話-2-2

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「えっ?」 私の髪の毛じゃない? 工場長の背中を追いながら、 そのゴムでまとめた後れ毛に疑いをかける。 「工場長、抜け毛、やばいんじゃないですか?!」 「うるせぇ!」 焼却炉にそのマドレーヌを投げ入れると、消えかけていた炎が、また勢いよく燃えだした。 「俺と、お前の髪の毛ではないんだよ」 その炎を見つめる工場長。 社長と同じように、ため息が後をたたない。 「じゃ、誰の?」 「そこは、今はハッキリ言えないけど、仕込みの段階で髪の毛が入れば、 俺の目は節穴じゃない、絶対に気づくはずなんだ」 「…………生地を寝かせている間に?」 「それでも、型に流すときに気づかないはずがない」 「……………………」 じゃ、いつ入ったというの? 「いくつか考えられるけど、とりあえず俺は今から客先に頭下げに行くから」 「え、じゃ、私もっ」 疑いは、私に向けられている。 「いい、お前はくるな」
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