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大きなふるいに粉を入れて、
『腕だけじゃなくて、上半身全体の力を使って、
いかに早く微粒に 必要分ふるわなければいけない』
そう意気込む私の後ろに、いつの間にか正造が立っていた。
「1人で全部やるのは、かなり無謀じゃね?」
″ お前、ホントに、下品な女だな。もういい。 ″
そう、私を突き放した男。
「山岡工場長が、焼きのところまで私に任されたので……
焼くのは、 お願いしていいですか?」
それでも 上司として、繋がっていなくてはいけない。
「わかった、
だけど、家庭用のケーキ作るわけじゃねぇから、体力的に無理があったら、直ぐ言えよ」
正造もまた、
仕事場では、今まで で変わりなく
私と接してくれていた。
「うん、ありがとう」
正造は、微笑んで、
自分の持ち場のケーキ部門にサッと帰っていく。
……迷惑かけたくないな。
プレゼンで勝ち取ったロイヤルホテルとの契約にも、クレームにより 影響が悪く出てしまうかもしれない。
『だからこそ、失敗は許されない』
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