第3話-2-2-2

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「芹南は、私が引き取ることになると思うけど、 もう前のように、意固地になって″ 会わせない ″とか言わないから」 芹南を元義母が連れて行き、 一緒に帰ると思っていた元夫。 何故だか玄関から動かない。 「スゲー自信だな?」 「………悪いけど、和泉とも話したの。 和泉はあなたほど遊び人じゃない。 もしもの時は、立証してくれるって」 動かないのに、 眉間辺りは、ピクッと細かに険しくなり、 優は、おかしな笑いを浮かべている。 「な、なに?」 「友達から慰謝料とるのかよ?」 「とらないわよ。和泉も、あなたの被害者みたいなものじゃない。 浮気するなら、もっと離れた所でやりなさいよ、何で同級生なのよ?」 ………どうして、 和泉なのよ? 和泉のあんな顔、見たくなかったのに……… 「お前は中途半端に優しいな、だからダメなんだよ」 「えっ?」 優は、靴を脱いで上がり始めた。 「ちょっ?!ダメよ、外で義母さんたち待ってるって!」 「別々の車で来たから。」 「はぁ?」 「俺の両親は、 復縁を希望してる。」 ″あんたは優しい所だけが取り柄なんだから、得はしないわね ″ 私、 優しくはないよ 「………それは、無理だから、もう戻れない、話合いなら、調停人を………」 靴を脱いだ元夫は、 無言のまま、私の首に腕を絡ませて、ヅカヅカと部屋に侵入してくる。 「聞いてる?!」 「あの頃は、抱けなかった」 ″ 止めておいた方がいいんじゃないの? ″ ____正造……… 「訳の分からない事いわないで」 引きずられるように部屋に押し込まれた私の声は、 「育児を頑張ってる苺を、 どうしても抱けなかった」 怒りが恐怖に変わりつつあって 細かに震えてしまっていた。 「………お願い、帰って」 抱き締められながら、 その声は、 とても小さくなった。 「ホントに好きなのは 苺だけだよ」 女じゃない正造には、 優の感情の方が、 分かるのかな?
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