第3話-2-2-2

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『優は、今でも苺のことが好きだよ』 和泉の言葉を思い出した。 それを信じたいとも思わない。 「苺の身体は、芹南のものだったから」 子供を生んで、授乳するようになってから 二人の間に男女の関係はなくなって 「他の女で我慢してたんだよ」 この間キスして、当時の寂しかった気持ちを思い出してしまったけれど 「この胸は、 聖域だった」 今は,触れられる事に、嫌悪感しか感じない。 先ほどまで芹南が寝ていた座布団に倒されて、 芹南の残り香が鼻に入り込んで、 一瞬、 気持ちが落ち着きそうになったけど、 「身体で繋がったって、 復縁はないからっ………」 もう気持ちはないのに 行為だけが復元されても ただ、悲しいだけ 「快楽から来る幸福感や、一体感もあるよ」 優の声が、 まるで遠くから聞こえているみたいだった。 寒くて仕方ないのに、 露出されていく肌は、 自然と、 以前の体温を吸収しはじめて 「やり直そう」 明るい天井と、時々 それと交互に 揺れる優の肩を見つめていた。
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