第3話-2-2-2-2

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正造は、 先に終えた、私の車の運転席窓をコツコツと叩いて開けさせると、 いつもと同じ端正なのに、 瞳が大きいために幼く見える顔を ヒョイと覗かせた。 「そんなにお腹空いてないから、軽めで」 「お前は減ってなくても、俺は減ってるの」 「………じゃ、吉野や」 「ゆっくり食えねーだろ?たまには まともなモノ奢らせろ」 「正造が、ばくばく食べてるところ見たいから、合わせるよ」 「こっちの台詞なんだけどな」 正造の車に乗り換え、 30分位走らせた、国道沿いの焼肉店で 車を止める。 「ガッツリいくね」「しゃぶしゃぶ食いたくなったから」 「外で食べるの初めてかも」 車から降りて、お腹の虫を誘ういい香りに、自然と急速に胃袋はスペースを空けてくる。 「家でしゃぷしゃぶなんか食うの?」 「いや、冷しゃぶサラダ止まり」 「邪道だけど、うまそうだな。今度それ作ってよ」 この間、 ちょっと喧嘩みたいになっちゃって、 待ち合わせの間少し緊張したけれど 「個室がいいんだよな。ゆっくりできて」 「ちょっとドキドキするね」 今日の正造は、機嫌がよく見える。 「お前、カラオケボックスとかネカフェでエッチするタイプだろ?」 「はっ!?なに言ッてんの?」 「顔赤くしてねーで、ほら、材料鍋に入れろよ」 いつもの、正造だ。 「お前、しゃぶしゃぶで肉そんなに火通してどおすんだよ?」 「なんか心配で」 「ほら、次々食えよ」 「そんなにモヤシばっか入れないでよ」 その、大きく笑う口元から、 別れの言葉は聞きたくないよ。
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